トップページ - 解説 - キメラアント

キメラアント

 キメラアントとは第一級隔離指定種に認定されている虫である。とにかく貪欲で、摂食交配という特殊な産卵形態を取る。ある時、ヨルビアン大陸に巨大キメラアントの女王が打ち上げられた。瀕死だったキメラアントの女王は魚やコウモリなどを摂食して傷を癒しつつ兵隊を増やし続け、NGL自治国の森林に巨大な巣を築き上げた。

[戦力の変遷][キメラアントリスト]

女王

キメラアントの要ともいえる女王の生態について。

【摂食交配】

 キメラアントの女王は他の生物を食べることでその生物の特徴を次世代に反映させることができる。より強い生物の遺伝子をとりこむことで種の保存をはかろうとする女王は、旺盛な食欲で自重の数倍の食料を一日で消費し、しばしば気に入った種が絶滅するまで摂食を続ける。個体によって好き嫌いが全く違うのでグルメアントという別名もある。

 大きさは女王蟻で10cm程度。しかし今回登場した巨大キメラアントは2mを越える大きさである。その巨大キメラアントの女王は一日に50体から250体の人間を食べ続け、凶悪な王を生み出してしまった。

【産卵】

 食事一回につき1〜5個の卵を産む。兵隊の役割は女王が万全の状態で王を産む環境作りと外敵の排除及び給餌である。生まれた兵隊に生殖能力はない(と最初は設定されていた)が、女王が死亡した場合は女王蟻を中心としたコロニーから離れ、異種の雌に強引に次世代蟻を孕ませる

 巨大キメラアントの兵隊アリが人間を孕ませた例は今のところ確認されていないが、師団長ザザンは女王を名乗り、念能力により人間をキメラアント(のようなもの)に変えていた。人為的に造られた兵隊にはさすがに生殖能力はないと思われる。

【築城】

 キメラアントの女王は気に入った場所が見つかるまで移動を繰り返す。その間徐々に兵隊蟻を増やし居城に備える。いざ場所が決まると大量の建築蟻を産み、すさまじい早さで築城を進める。建築蟻は兵隊蟻と違って他の生物の遺伝子は反映されず、普通の蟻と似た形をしており、巣は泥や糞で建築する。

【給餌】

 餌となる生き物は神経毒により身動きがとれない状態のまま保存される。いざ給餌の際は生きたまま肉を裂かれ団子状に丸められて女王に差し出される。

【王を産むまで】

 女王が王を産むまでには何段階かのプロセスを経る。まず様々な生物を摂食して兵隊を増やし、定住場所を決めるまでに約一ヶ月。定住場所を決めて城を完成させるまでに約一ヶ月。城が完成すると女王は王を生むことに専念し、最高の王を産むため限りなく大量で質のいい栄養を取り込む。兵隊の場合は卵から産まれてくるのだが、王の場合は女王の腹の中で成長し、約二ヶ月後に産まれる。

 その後も女王は死ぬまで城の中で過ごし、定期的に王を生む。女王直属護衛隊、のちの王直属護衛隊も次の王が生まれる前に産み出されるのだろう。巨大キメラアントの女王の場合は最初に生まれた王により殺害され、次の護衛軍は生まれなかった。しかし体内に赤ん坊の次の王が遺されていて、救い出した兵隊によって育てられている。

 産まれた王は放浪しながら様々な生物と交配し、次世代の女王を孕ませる。増殖を防ぐには王を産む前に女王を倒すのが必須条件。一旦産まれてしまうと、様々な生物の遺伝子を取り込み、数百数千体分の栄養で育った王を倒すのは至難の業と言える。巨大キメラアントの王は現在、兵隊のザザンと同様に人間を兵隊にしようと考えている。まだキメラアントを繁殖させる気はないようである。

兵隊

女王を守る兵隊について。

【信号】

 キメラアントは信号によって会話することができる。言語能力が発達した師団長、上級兵は人語による会話もできるが、女王をはじめ言語能力の乏しい下級兵などは信号のみで会話する。信号ならば長距離の兵隊と連絡を取り合うことも可能で、常に繋がった電話のようなもの。それだけに連絡網を整備しておかないと大変なことになる。

 バイタル隊は師団長がすでに殺されたゴラン隊に状況連絡を求めたが、多くの兵隊が信号を送ってきたため「訳わかんねー」状態に陥ってしまった。複数の信号を同時に聞き取る事は容易ではないようだ。また、下級兵の信号は単純で要領を得ない。

 信号は師団長以下全ての兵隊が使うことができるが、次世代の王とそれを守る護衛軍だけはその能力を持っていない。

【知能】

 巨大キメラアントから生まれた兵隊の知能は高く、下級兵であっても複雑な命令を処理することができる。女王の元に餌を運ぶのはもちろんのこと、水が入ったグラスを運んだり、決闘をするためのくじを引いたりと言葉を理解していないと難しい行動もとれる。

 上級兵以上は銃や機械などを扱え、本を読んで知識を吸収することもできる。師団長となると人間とほとんど変わらない。それはキメラアントが人間の遺伝子を継いでいるというだけではなく、人間だった頃の記憶をも継いでいる場合があるからである。王に至っては将棋や囲碁といった盤上競技を十局前後指すだけで、プロを凌駕するほど上達してしまう。

【念能力】

 巨大キメラアントは当初念能力を持っていなかったが、女王を討伐するためNGL自治国内に侵入していた、ハンターの攻撃を受けた兵隊アリの一匹が念能力に開花。その兵隊アリによって念による選別が施され、生き残った兵隊長以上の兵隊全てが念能力を習得。習得後すぐに練、凝といった基本技をマスターし、個別能力も人間より遙かに早いスピードで開発してしまう。その能力はほとんどがキメラアントの特性を反映させた、人間には真似できないような能力ばかりである。

 王と護衛軍は誕生した時点で凶悪なオーラを有していた。護衛軍の一人ネフェルピトーは思いつきであっという間に能力の開発をはじめ、まだ不確かな点もあるが、死者を蘇らせるという現実離れした能力を編み出した。

【生命力】

 人間以上なのは言うまでもなく、頭と体が切り離されても一日くらいなら生きていられる生命力を持つ。即死させるには確実に頭を潰さなければならない。しかし殺す逃げるどちらにせよ、発見された時点で信号で自分の情報が兵隊の間に広まってしまう。

【階級】

 女王を頂点に5つの階級で構成されている。即ち「女王−直属護衛隊−師団長−兵隊長−戦闘兵、雑務兵」である。王が産まれるとこの階級が分裂し、直属護衛隊は王に付き、女王の元には師団長以下が残る。女王が死んだ場合は指揮系統が崩壊し、兵隊はおのおのが勝手に行動するようになる。王の部下になることもあるが、それは打算であって忠誠心からではない。なお、一部の師団には師団長の下に師団長補佐という階級が存在している。

【性格】

 キメラアントは元々好戦的な性格だったが、人間の影響を受けてさらに邪悪さを増した。思考が柔軟になったことで兵隊が個性的になり、蟻が持っていた統率性も失われている。しかし彼等に共通することは「一度死んでいること」である。死の記憶が色濃く残っていればいるほど、その兵隊は精神的に強くなっている。


トップページに戻る

inserted by FC2 system